GUN & ZOMBIE & MURDER & HERO

銃、ゾンビ、殺人鬼、ヒーローがいれば人生はバラ色

セルジオレオーネに土下座『ウエスタン』

昔々西部のどこかで……

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レオーネといえば今更語ることもないほどの巨匠である。そんな巨匠が自らの持てる技術全てを詰め込んで作り上げた超傑作が『ウエスタン』だ。

冒頭「いかにも!」な三人組を登場させ、ひたすら説明がないまま実に10分以上観客を引っ張り続ける。緊張がピークに達した瞬間、満を持してブロンソンが登場しもはや様式美ともいえるほどのガンさばきで三人組を撃ち殺す。マカロニ好き、レオーネ好きならこの冒頭だけで完全にノックアウトである。

そこからも癖のあるキャラクターがガンガン登場し、ストーリーの全貌がわからないまま観客をグイグイ引き込んでいく。そしてストーリーの全貌が見えてきたところでラストの決闘である。

そして全ての決着がついた後、ロングショト&長回しで主人公とシャインの去り際を哀愁たっぷりに描き上げる。多くの人がこれをレオーネにとってマカロニウエスタン、西部劇との「決別」であると語っているが、私にもそうとしか思えなかった。

しかし残念ながらこの作品、公開当初は失敗作と罵られたそうだ。恐らくレオーネといえば『ドル箱三部作』が有名すぎて同じテイストを期待されたのだろう。似たような要素は多いが『ドル箱三部作』と『ウエスタン』は確かに違う。

『ドル箱三部作』の主人公達(達といっても全員イーストウッドだが)が己の掟にのみ従順なアンチヒーローなら本作の主人公はどちらかというと正統派西部劇のヒーローに近いように感じる。そういう意味では『ウエスタン』は正統派マカロニウエスタンというよりも正統派西部劇に近い作品かもしれない。『ドル箱三部作』を期待した観客からは期待はずれと称されても仕方が無いだろう。

レオーネ映画で忘れてはならないエンリオモリコーネの素晴らしい音楽も健在であり曲数こそ少ないが全てが名曲といえるほどの完成度である。私は特にハーモニカが哀愁漂う『復讐のバラード』がお気に入りだ。

マカロニウエスタンというジャンルを完成させたレオーネが自ら幕引きを勤めた『ウエスタン』は文句なしの名作である!万難を排して観るべし!!

 

 

え!?タイトルの土下座はなんでかって?

……この映画のDVD、今から8年位前に買ってそのまま放置してたからです(笑)

なんでそこまで放置してたかって、この映画ものすごく長いじゃないですか。なかなか腰が上がらなかったというか、タイミングを逃していたというか……。

そういった意味でセルジオレオーネに土下座です。

こんな名作をここまで放置して本当にすみませんでした!

 

 

でも本当にこの映画長いんです!